滅菌とは?
滅菌と消毒
滅菌・消毒・殺菌の定義
滅菌
「病原体・非病原体を問わずすべての微生物を死滅、または除去すること。」
(補足)
細菌の死滅特性は指数関数で表される。
従って生育微生物の存在は、確率で表され、この確率が非常に低い数値に減少したとしても0にはならない。
通例、滅菌は10-6以下の無菌性保証(SAL;Sterility assurance level)が得られる条件で行われる。
- 例)
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- 高圧蒸気滅菌
- 酸化エチレンガス滅菌
- 乾熱滅菌 ほか
消毒
「病原性微生物を死滅、または除去させて感染の危険をなくすこと。」
- 例)
-
- 煮沸消毒
- 各種薬物消毒 ほか
殺菌
「菌の生活力を奪うことをいうが、広い意味で使われ、芽胞、カビなど多くの種類の微生物を不活化することをいう。」
各種滅菌法・消毒法の概要
高圧蒸気滅菌
鋼製手術器械、理念類、ゴム類など高温・高湿に耐えうる物品の滅菌に、病院、研究施設、産業分野ほかで、広く用いられる第一優先の滅菌法である。滅菌処理に要する時間、コストが比較的少なくすみ、その適用範囲も広い。最も歴史が長く信頼性が高い。
乾熱滅菌
ガラス器具・軟膏・粉末などの滅菌に主に用いられる方法で、使用温度がかなり高温(160℃以上)となるため、その適用範囲は限定される。
酸化エチレンガス滅菌
熱による方法に比べはるかに低温で作用できるため耐熱性の少ないゴム製品、プラスチック類、光学器械類などの滅菌に用いられる(滅菌時の缶内温度、40℃~60℃程度)
被滅菌物への浸透性に優れており、広く適用できるが、滅菌処理に要するコスト、時間が比較的大きく、またその毒性から滅菌後の残存ガス除去及び作業環境の換気など取扱いに注意を要する。
低温プラズマ滅菌
気体に周波数エネルギーを加えることによってプラズマ状態を作り出し、遊離期(フリーラジカル)の作用によって滅菌する。実用化されているものは、過酸化水素蒸気と高周波エネルギーを組み合わせた過酸化水素プラズマ滅菌があるが、細管や細かい隙間への浸透性が乏しいため、適応の可否に注意を要する。
火炎滅菌
検査(特に細菌検査)用具の部分滅菌、各部門よりの廃棄物の焼却などに用いられる。
煮沸消毒
鋼製手術・診断用器械、注射器などの消毒に広く用いられてきた手法であるが、しだいに高圧蒸気滅菌法にかわりつつある。
流通蒸気消毒
装置内で発生、または送入された蒸気は流通して出口から排出されるため、内部圧力は大気圧を超えることは無し。従って処理温度は100℃で行われる。
消毒薬
各種用途に応じて、単独もしくは組み合わせて使用される。
出典:高圧蒸気滅菌装置の知識 基礎編
発行所 サクラ精機株式会社 教育センター